俺たちの知らないヒヨリンを知ってるんだろうな。
「ひーちゃんは格好から入る子でだな。
あれは大工になりきってるつもりだから。」
ヒヨリン、大工になりきってたのか!
「つうか、お前ら暇ならひーちゃんの手伝い
してやれよ。文化祭の準備全然やってないだろ。」
「暇じゃねぇ。」
慶詩がイラつきながら小石を蹴った。
「けどよ、行事参加強制だからな。」
「あの副校長って野郎がうるせぇんだろが。」
「文句は言わせねぇよ。」
相沢がニマっと笑う。
「それに、ひーちゃん気にしてるみたいだからね~」
手に持った名簿を持ち変える相沢。
「口に言わないし、顔に出さないで何考えてるか
分からないのはひーちゃんの兄貴にも似てんだよな。」
もう1人居るっていう人か?
「隠れてるつもりだったんだろうけどさ、
俺と副校長の話聞いちゃったんだろうなーってことは
知ってんだよな。いや、ひーちゃんにバレちまってんぞ。
お前らが体育祭に出れなかった1つの理由っての。」
へらりと笑って見せると相沢は背を向けた。
「他に理由があるにしろ文化祭ぐらい出ろよ。
学生の本文忘れんじゃねぇぞ。」
キュッキュッて鳴る靴の音が響いた。
ヒヨリンは神出鬼没なのかもしれない。
副校長と相沢の話ってのがよく分からねぇや。
「あのね、サユ。甘栗っていうのはね。」
「あんたの豆知識はいいわよ。」
「えっ、サユ。良くないよ!」
サユリンとヒヨリンは仲良しだ。
袋を両手にいっぱい持つヒヨリンの隣で
サユリンが心配そうにヒヨリンを見てる。
サユリンとヒヨリンには強い絆があるんだろうな。
ヒヨリンがサユリンと一緒に居るときに
笑った顔を見ると俺も嬉しくなる。
ヒヨリンの笑った顔を見ると心が温かくなる。
この感情は一体何なんだろう?

