※鋸は危険物です。真似は絶対にしないで下さい。
な、何その青い顔は!!
誰に何されたんだ!?
「ヒヨリン、何してんの?」
沈黙が走る中、一番先に口を開いたのはユウヤだった。
「見ての通りだ。看板作りに没頭している。」
どう見たってそう見える状況だろう。
「危ないよ、日和ちゃん。」
「危なくないよ!鋸で木材切ってるんだよ!」
馨君が動揺しているところを見たのは初めてかもしれない。
「お前予想外にもほどがあるぞ。」
慶詩は盛大なため息を吐く。
「予想外ってどこが予想外なの?」
「そんな楽しそうに逞しく大工仕事してる女
なんて見たことねぇよ。」
「じゃあ、いい経験をしたな!」
ポンと慶詩の肩に手を置くと、
「お前、マジでタマ付いてんじゃねぇよな?」
「しっ、失礼なっ!!」
失礼極まりないことを言われた。
でも、あたしのメンタル強くなった!
これぐらいでHPは減らなくなったようだ。
「他のヤツ何で居ねぇんだよ。」
伊織君が花壇に腰を降ろして遠くに居る
女の子たちに手を振る。
相変わらず、好きだな。
もうこれは病気として認定しちゃっていいぐらいじゃない?
「帰宅部組で準備してんだよ。
みんな部活の掛け持ちが忙しいみたいで、
暇なのがあたしとサユとクルミちゃんと彩乃ちゃん
だから手分けして作業してるの!」
「お前、とりあえずその鋸こっち寄こせ。」
「えっ、ヤダ!」
今から切るところなんだからね!
これからが楽しみなところを没収されるなんて、
新発売のお菓子を買ったけど道路でぶちまけちゃった
時ぐらいのショックだよ!!
「わった、わったから危ねぇだろうが!!」
振り回すなよと慶詩に鋸を強制的に取り上げられた。
あたしの楽しみがっ!!
どうにかして取り返さねば。

