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said:京
「京ちゃん、行くか。」
だから、何度も言わせるな。
「慶詩」
面白半分ってところだろ。
待たせたのは悪いと思ってる。
「わーってる」
ピアスの光が眩しい。
「・・・それまだ付けてるのか?」
慶詩が振り返って首を傾げた。
「京ちゃん、今日意外と喋るよな。
相当面倒なこと起こったのかよ。」
「大したことはない」
店を出るとまだ昼間だって癖に雲が
太陽を隠して影を落とす。
「ああ、この天候だからか。」
曇り空の下慶詩の後を歩く。
「昨日の後始末は片付いたにしろ、
最近こういう役回り多すぎだろ~」
この後は慶詩と東地区に行くことになってる。
その前は、ユウヤとナルに連れ回されていた。
朝から2人に引っ張られて出かけることに
なるとは思っても見なかった。
「京、あんまり無茶すんなよ。」
慶詩の言葉にハッとして後ろを振り返ると、
バットを持った男が5人一気に襲いかかってきた。
「・・・ッチ」
少し油断していたな。
曇った空は苦手なんだ。
調子が狂うのはいつもこんな日だ。
いつの間にか慶詩が前に立って、
鉄パイプでガードする。
「・・・悪い」
「おうっ、大丈夫か?」
慶詩に心配されるとはな。
そろそろこんな自分にケリをつけたい。

