Hurly-Burly3 【完】


大抵、面倒なことが起きるたびにトラブル処理に

出回ることになるのが西地区の黒宮さんたちで、

トラブル起こす側は北地区の奴らばっかりだ。

街の奴らは知らねぇと思うが、黒宮さんたちが

居るおかげで西地区は安全なんだ。

北地区の奴らはみんな頭が可笑しい。

ドラッグやったり、女襲ったり、街の無害な人に

暴力振るったりして気味が悪い奴らばっかりだ。

一度、ひーちゃんが北地区に入ったって聞いた時は

ここに居るヤツ全員が動揺した。

無事で帰って来れねぇんじゃねぇかって思ったからだ。

幸いひーちゃんは黒宮さんたちと帰って来た。

頬に殴られた痕があったのを見たけど、それ以外は

どこも怪我してないようで安心した。

俺は西地区で生まれ育った分この土地が好きだ。

星鈴も相沢や村田みたいなセンコーが居るし、

何よりもひーちゃんが居るから好きだ。

この街がいつか一つになればいいなとも思う。

みんな暮らしにくいはずなんだ。

同じ街の括りの癖に5つも分かれて行けない

土地がある。

それはいつか壊さなきゃいけないと思う。

そのためにも強くなりたい。

黒宮さんたちに足元及ばない力でも、

役に立てる男になれたらそれが本望だ。

「それにしても、遅ぇな。」

水谷さんがケータイを片手にため息を吐いた。

「誰か来るんすか?」

「ああ、京ちゃんとここで待ち合わせしてんだよ。」

涌井さんのことだよな?

そ、そんな恐ろしい呼び名でいいのか!?

「慶詩、その呼び方やめろ」

灰色の髪を靡かせて店に入って来た涌井さん。

「遅ぇよ。京ちゃん、機嫌悪そうじゃねぇか。」

「・・・二度も同じことを言わせる気か?」

この2人、仲がいいのか悪いのか分からねぇ。

とりあえず、息を呑んでその光景を見張るので

精一杯だった。

それにしても、涌井さんのオーラが怖ぇ。