そろそろ寝に行こうかな。
明日はサユと藍ちゃんと念願の映画に行く予定がある。
映画の最中に寝過ごしたら困るから早めの就寝に
しようかなと思いながら急須にお湯を淹れた。
『ヒヨリンの声って落ち着く。』
えっ!?急に何を言い出すんだ。
驚きすぎて急須からお湯が零れた。
布巾で零れたお湯を拭く。
「ナル君は落ち着かないんですか?
そうですね、それは困ったわ。
落ち着くおまじないを調べておきます!」
ナル君が困っているならお力にならねば。
『ヒヨリンの声聞いただけで落ち着くから
そんな必要ない。』
な、何かナル君にキュンキュンするんですが!?
なんて、ドギマギするようなことを言うんだ!!
心臓持ってかれそうだ。
ナル君キューピッドさんがハートを射抜こうと
しているっ!!
「そ、そ、そうですか!」
確実に動揺を悟られたわ。
近くに誰か一緒に居るのかしら?
さっきは慶詩に始まり、馨君で今はナル君へ
バトンがパスされている模様。
確か、持ち主はユウヤじゃなかった?
持ち主のユウヤはどこへ消えたんだ!?
『ヒヨリン、芋食ったか?』
ついに登場した!!
「一つ残らず食べたよ。
ユウヤが剥いてくれたんだもんね。
有難うって一応言っておく。」
『そっか、そっか』
ユウヤの不器用さがよく分かった。
でも、お芋さん美味しかったな。
「今度は一緒に食べられるといいな。」
少し残念に思ってるから。
お芋パーティーなのに芋を1人で食べる
ことになるとは思っても見なかったよね。
自転車の荷台でもひもひ芋をひたすら食べる
図は街の人もドン引きだったに違いない。

