一瞬、時間が止まったんですかと思うほどだった。

みんな固まったのかと思うのも一瞬のことでナル君

に再びエンジェルが降臨した。

ふわふわの髪を靡かせて愛くるしい笑みを向ける

ナル君にはもう悩殺寸前だった。

一瞬止まった時はやはりまだここでは出すべきでは

なかったのかしらと思った。

笑顔の練習はまだ完ぺきに出来ているわけじゃない。

頬の筋肉が攣りそうという毎日の日課となっている

トレーニングの成果があったのかはよく分からない。

そんなことをしている内にクラス対抗リレーは

終盤に差し掛かって赤の団長が余裕でゴールを

決めた時は会場がどっと歓声で盛り上がった。

赤の団長と副団長が抱き合って喜びに浸る。

クラスのみんなも仲良く喜んでいた。

サユは満足そうに笑っていて、クルミちゃんと

彩乃ちゃんもVサインを送ってきた。

どうも、ピースサインやVサインはこういう時に

使われるらしい。

そのまま、体育祭は優勝を果たして締めくくった。

クルミちゃんの後々飛びつかれた時はビックリして

心臓が飛び出るかと思った。

彩乃ちゃんには日和ちゃん足早すぎだよと言われ、

サユにさすがあたしの見こんだ親友ねと嬉しいこと

を言われて1日すっかり楽しんでしまったなと思った。

クラス優勝してしまうとはまさか思っても見なくて、

クラスのみんなはガヤガヤ騒いでいた。

打ち上げしようぜという人が居たりで教室に戻る

頃には賑やか過ぎて先生に怒られるほどだった。

「あ、麦わら帽・・取りに行ってくるから先に

戻ってて!!」

麦わら帽を忘れてきてしまったようだ。

走る時は邪魔だからと取ったのだ。

「了解ー、戻ったら祝杯あげよう!!」

「はいはい、あたしするめいか食べたいです!」

「日和ちゃん、渋いね。」

するめいかは最強戦士だと思うもの!

「分かった、買いに行ってくるから

早く取って来なさいよ。」

サユの言葉に頷いて元来た道を再び歩き出した。