あたしは決してああいう人にはならないわ。
「サユ、大丈夫?」
「平気よ、あたしが怒る間もなくあんたが珍しく
怒るものだからすっかり文句の一つも言えなかったわ。」
それにしても、先輩っぽいような随分と背の高い人
だったと思う。
あたしが低いというわけで言ってるわけじゃない。
サユともかなりの身長差があったと思われる。
先輩と言ってもあまり関わる機会もないから、
見たことなくても普通だけど何か違和感を感じた。
その時は特にこれと言って追及することはなかった。
「あ、ひよっち遅かったね。」
ベンチの上で彩乃ちゃんとクルミちゃんが話で
盛りあがていた。
「無礼者が居たもので少しカッカしてますのよ。」
この怒りは後で競技中に発散してやるわ!
「無礼者ってっブッー」
「やだ、クルミ汚い。」
クルミちゃんのツボが理解不能だ。
「そろそろ午後の部始まるし、クラス席に戻ろう。」
彩乃ちゃんの言葉に頷いて戻ることになった。
その間にさっきの無礼者の話をするとクルミちゃんが
何それ感じ悪っとプンスカしていた。
彩乃ちゃんも怪我なくて良かったねとサユを
心配してくれた。
それから、クラス席に戻るとすぐに午後の部
でトップバッターの競技ムカデ競争が始まった。
怒りを胸に挑んだムカデ競争は練習時とは比べもの
にならないほどのスピードを叩きだした。
それはもう観客席もポカーンだった。
酒井さんもあたしのスピードについてきてくれた。
「みんな、何かすごく燃え尽きたみたいだけど大丈夫?」
「ひよっち、暴走しすぎ!!」
「日和ちゃん、最初からフルだったよね?」
確かに多少頑張っちゃいました。
しかし、勝ったら気が収まって来たわ。
気分が良いと言うことでさっきの件は
さっさと忘れてしまうことにしましょう。
サユ自体がそんなに怒ってないし、今は
楽しい体育祭に奮闘しなければ!!

