ふふと笑うとサユが何笑ってるのよと拗ねる。
「あんたが笑ってると不気味よ。」
ガーン・・・
やはりあたしの笑みには他ならぬ違和感があるのか!?
昨日も頑張って鏡を前にあいうえおと言ってみたり
日頃の練習を重ねているというのに!!
「落ち込みすぎよ、日和が笑うと嬉しくてつい・・」
ぎゃあああ!!
何て可愛いツンデレサユちゃんなんですか!?
イカンよこれは本当にイカン!
「さーちゃんラブブッ」
ガバっと手を広げていたら本当にサユが腕の中に!?
「痛っ」
サユを抱きとめたあたしは何事と思って辺りの状況を
確認作業する。
『ピッピー』
『ここで車の衝突事故がありました!』
『今すぐ、救急車の手配をよろしくお願いします。』
まずは現場の保存が必要ね。
※ここで久々に日和の妄想に入ります。
どうぞ優しい目で見守って下さい。
事故車両のもう一方はどなたかしら?
一方はサユで間違いないわ。
病院に搬送しなくては!!
救急車を呼んで家族に連絡も取らなきゃだわ。
きっとダディが泣きながら飛んで来るに違いない。
『消化活動にご協力下さい』
『あら、やだ。この辺で事故なんて物騒ね。』
奥さん、この事故はどうみたって相手方が
100%の過失だわ。
「そうです、あなたあたしのサユちゃんになんて
ことをしたんですか!!」
※これでもすごく怒ってます。顔はポーカーフェイス
でも心はやかんの沸騰並みの怒りを隠しているのです。
あたしがサユを受け止めてなかったら確実にサユは
突き飛ばされて地面とごつんこさんだったはず!!
サユに怪我をさせるなんて首をへし折ってやるわよ!!
という勢いで相手を睨みつけている。
「すいません、急いでるもんで。」
な、なんて態度なの!?
それでも過失100%の言うことかしら?
誠意が見られないわ!!
目を合わせようともしないで俯いたままの男が
そのままぺこりとお辞儀をすると走って消えた。
見っともないわ!!
自分に責任が取れないとは世の中の若いものは
これだから大人にナメられるのよ。

