風邪をひいてから一週間後。

その日は晴天に恵まれた。

馨君は心配していたけど、あたしのパワーに

勝るものなどなかったということが証明された。

あたしはこんな時でも頼まれた。

委員長お願いと言われて引き受けることに

なってしまったのである。

元々、体育祭では殆ど仕事がなく競技だけに

集中していれば良いという話だったのが、この

季節の変わり目あたしだけではなく放送委員

だった子がお休みしてしまったということで

代役を頼まれた。

あたしは心身ともに絶好調だった。

声はよく通る方だから別に良いですよと

放送席で生徒を指示した。

どうやら、本当にみんなは来ないらしい。

学校行事をすっぽかすとは普段の授業より

楽しいのに勿体ないことをしたな。

「次は、100m走です。選手の方はゲート

に順番になってお並び下さい。」

保護者席も結構たくさん居るみたいで、

わいわい盛り上がってきた。

お昼前で一番盛り上がる競技はこの

騎馬戦あたりかしら?

「日和、お茶買って来たよ。」

クルミちゃんと彩乃ちゃんと一緒にやってきた

サユからジャスミンティーを受け取る。

「助かった、喉が渇いていたよ!!」

喉に沁みるように潤いがやってきた。

「日和、赤いもの何か付けてきたって・・・」

学校の方針でハチマキをするのが義務付けられ

ているが、後はクラスごとに何か付けたりす

るか相談らしい。あたしのクラスは何か赤い

ものを付けようということになっている。

クルミちゃんは赤いピアスをしてきたらしい。

彩乃ちゃんはシュシュを赤の水玉で腕に

付けている。サユは、赤いリボンを髪に

付けていてミラクルキュートさが加わっている。

あたしはというと身につけるものが思い浮かばなくて

昨日兄ちゃんに相談してみた。