紗友梨から日和ちゃんの家族がどんな人かは

聞いたことがあった。

「アイツ随分過保護だと思わねぇか?」

サユと一緒にピザまんを食べてる日和ちゃんを

チラッと見る。

「日和ちゃん可愛いからじゃないの?」

ただ、可愛いっていう感じでもない。

凛としていて笑うと綺麗で申し分のない

容姿をしている子だとは思ってる。

「お前もアイツの信者か!?」

「中学の時も日和ちゃんは気付いてないけど、

周りの声は凄かったよ。」

日和ちゃんに近寄る男は全部斬るとか物騒な

ことをサユが言ってたな。

日和ちゃんは散々自分はそんなことないって

いうけど、周りは全然違った。

「バレンタイン、日和ちゃんがチョコレートを

持ってきてないかって教室に詰め寄る生徒が

殆どで日和ちゃんは勘違いしてこの教室に

磁石がついてるとか言ってたな。」

それから、磁石を探し出す日和ちゃんには驚いた。

磁石を集めて封印と書いた紙を貼った日和ちゃん

には好きにさせといてとサユが言ってた。

「筋金入りだなおいっ。」

慶詩がふと顔を上げる。

黒宮さんの方を見るとボーっとしながら

花を見ている。

この人が西のトップで俺なんて比にならない

強い人だってのは知ってる。

「黒宮さん、頼みますよ。」

日和ちゃん、ああ見えてしっかりしてるようで

隙だらけな子だから。

黒い瞳はこの人の意思の強さみたいだった。

「マコ君っ!!さーちゃんが、さーちゃんが

デレのスイッチオンだよ。」

サユに背中を叩かれながら笑ってる日和ちゃんが

幸せそうに見える今心配することでもないのかも

しれないと思う。

「日和ちゃん、サユが・・・」

「マコは来なくていいから!!」

その隣で笑ってるサユが俺は好きだからこの光景

がずっと続いてくれればと思うけど。