まだ熱があるせいか体が怠くて動く気にも

ならないわけでサユの心配は要らずとも

安静状態だ。

『ハニーは困ったさんだな。あまり

無茶されると心配になるからね。』

「はーい。」

ダーリンにまで言われると相当やっちまった

感があるわけでしょんぼりと布団に潜った。

少し眠った後に、マミーが来た。

「ひーちゃん、お熱測ろう。」

体温計を持ってきたマミーの言葉に

従い、大人しく熱を測る。

「38度2分です。」

「あら、まだ少し高いみたいね。でも、

昨日よりは下がって良かった。工藤先生

に診て貰いに行こうね。」

昨晩も様子を見に来てくれたマミーには

本当に頭が上がらない。

風邪をひくと大抵黙って1人で寝て

何とかするもののマミーが気付くと

看病しに来てくれるから本当に有難い。

「お仕事大丈夫ですか?」

「もうそんなこと気にしなくていいの。

ひーちゃんは本当にみーちゃんにそっくり。

もっと子どもらしくていいのよ。無理して

大人になろうとしなくてもひーちゃんを責め

たりしないんだからね。」

鼻がつんとなった。

「ちょっと、待っててね。パパ呼んで来るから。」

パタパタとスリッパを鳴らしてマミーが

部屋を出た瞬間温かい気持ちでいっぱいになった。

『ハニー、強がりだから僕にぐらい弱くたって

いいからね。』

「昨日からそればっかりで、あたしはどうも頼り

がいがなくなったみたいだわ。」

『あのね、ハニー。僕はハニーがどれだけ頑張り

屋さんなのかをよく知ってるんだ。』

ダーリンの長い睫毛がふぁさっと瞬く。

「ダーリンにはいつも弱音を吐いてしまうみたいね。」

どうも熱があるせいか調子が出てこない。

ジョセフィーヌの背中に顔を埋める。

ヨシヨシしてくれるダーリンをこれでもかって

ぐらいぎゅうと抱きついた。