お兄ちゃんは知ってるのかもしれない。
日和のお兄さんである透真さんの親友をやってきた
お兄ちゃんは透真さんから聞いてるんだろう。
家の明かりがついてないってことはまだ帰って
きてないのかな?
ガチャっとリビングのドアを開けるとどんよりした空気が
して明かりを付けた。
「あれ、さーちゃん・・・・」
どうもどんよりした空気を作り出してる人は透真さん
らしくてジョセフィーヌが足に飛びついてきた。
「透真さん、どうしたんですか?」
この人が暗くなることなんてあったんだと思いながら、
ソファーでいじける透真さんを横目にキョロキョロと
辺りを見渡す。
日和は部屋にでも居るのかな?
風邪ひいてるからもう寝ちゃったとか。
「それが聞いてよ、さーちゃん」
グイグイ手を引っ張られて隣に座らされた。
マコを巻き添えにして透真さんの話を聞くことにした。
修平は別のソファーに浅く腰を掛ける。
「ひーちゃんが家出しちゃったんだよ!!
こんな時間なのに帰って来ないなんて
それしか思いつかない。」
透真さんの言葉に日和の朝の姿を思い出す。
フラフラした足取りで熱っぽい頬。
授業中に何度か咳を出して鼻水を豪快に
咬むあたしの親友の姿を。
可愛い鳩時計で時間を確認すると7時になる
頃に短針が差し掛かっていた。
「どうしよう、マコ。」
急に不安になってマコに視線を合わせた。
「サユ、落ち着いて。」
「でも、日和に何かあったのよ。
こんな時間にも帰って来ないなんて
可笑しいじゃない。倒れてるかもしれない。」
日和は早めに帰るからと言ってた。
倉庫の整理が終わったらすぐに帰宅して
電話してくれるって約束したのに電話すら
来なかった。それはこう考えられる。
電話も出来ないぐらいの状況に居るってことでしょう?

