買い物袋を下げて家に帰るともう外は暗くて

ママがご飯を作っていた。

マコと部屋で寛ぐ前に日和の家に行こうと

思っていたところ修平が日和から借りてた

『地味にウケる手品』とかいう本を持ってきた。

あの子はとにかく本が好きなんだ。

一日平気で読んでる時はさすがにビックリした。

分厚い辞書みたいな本や、英語や外字の本は

もちろんのこと論文を読んでたりとその頭の良さは

日和のお母さんである未依さん譲りだとママが言ってた。

あたしは未依さんに会ったことが一度あるみたいだけど、

覚えてないぐらい小さい頃の話。

日和と仲良くなる前にはもう海外で仕事をしていると聞いた。

どんな雰囲気だったとか覚えてない。

でも、ママから聞いた話で好感の持てる人だって思った。

未依さんに憧れを持っている。

ママの親友で日和のお母さん。

薄ら覚えてる記憶の中でもとても綺麗で優しい人だった

のはどことなく覚えている。

「あら、さーちゃん。

ひーちゃんの家に行くならご飯一緒にどうか

聞いてみてくれない?」

「うん、行ってくる。」

マコと修平と日和の家に入る。

日和の家の鍵は持ってる。

大きな豪邸みたいな家で日和はずっと

1人暮らしていた。

ある日まではある人が日和の傍にずっと

居て大事にしていた。

その大きな家で日和が寂しくならないように

なるべく一緒に居たつもりだけど改めて来ると

広くて大きい家に圧倒する。

お兄ちゃんが言うには日和の家は何かと事情が

あって、こんな豪華な家だと言うけど日和は

そこらへんの事情を話してくれない。

話す機会が多分ないのかもしれない。

あたしが聞けば日和は何か答えてくれると思う。

でも、お兄ちゃんは聞かないで日和が自分から

言い出すまで待っててあげて欲しいと言ってた。