スーパーのカゴを持つマコが優しく笑うと、
あたしの鉄壁のバリケードも崩される。
今まで信頼している人なんて日和以外
考えられなかった。
もちろん、家族は信頼しているけど
それ以外には日和しか思いつかない。
「無茶ばっかりするのよ。
時には甘えればいいのに頼んだって
甘えてくれないの。マコ、どうしたら
日和を甘やかせられる?」
「サユ、日和ちゃんは十分サユを頼ってる
と思うよ。それでも、日和ちゃんは頑張り屋
だから最初は自分で何とかしようとするかも
しれない。日和ちゃんがどうしようもなく
なった時にサユが手を差し伸べてあげれば
いいんだから待ってあげようね。」
どっちのゼリーが好みかなと聞いてくるマコ
に葡萄を指さした。
マコは人の気持ちを考えて行動する人だと思う。
マコの言葉を聞くとスッと心が落ち着く。
「サユは日和ちゃん大好きっ子だな。」
マコの手があたしの頭を撫でた。
あたしよりも大きな手はやっぱり落ち着く。
「マコのことも好きだけど?」
はにかむその優しい顔がきょとんとなる。
それから、数秒して真っ赤に染まるマコの
顔を見たらきゅんとした。
「サユちゃん、いきなり言うと心臓に悪いからね。」
照れたマコの顔が一番好きだったりする。
「マコはあたしのこと好き?」
「聞かなくたって分かるだろ」
耳まで真っ赤になったマコの手を繋ぎながら
果物コーナーへと向かった。
「何よ、言ってくれないの!!」
ボンボンマコの肩を叩くと照れながら、
「サユが世界で一番好きだよ。」
こっちまで恥ずかしくなるセリフを吐く。
マコと日和が居ることがあたしの幸せなの。
「マコ、ベートーベンみたいな名前の
果物がある!!」
「サユ、それスチューベンだよ。」
スーパーの買い物はその後無事に終わった。

