だから、あたしには日和が居なくちゃどうしようも
なくて、この胸騒ぎも気のせいだって思いたい。
「風邪、引いてるから何か買ってく。」
「いいよ、日和ちゃんは甘いものは苦手
だから何を買えばいいかはサユに任せる。」
マコと一緒にスーパーに行って、ゼリーと
アイスと果物を適当に選ぶ。
そういえば、お兄ちゃんはよく日和が風邪を
ひくとゼリーをありったけ買ってた。
「日和ちゃん、一緒じゃなくて良かったの?」
「それが、日和平気な顔してクラスの子に
倉庫の整理頼まれたのよ。」
何で、日和は文句言わないんだろう?
嫌なら嫌だって言えばいい。
ううん、日和は嫌だと思ってない。
困ってる人はほっとけない子だもん。
自分がどんな辛い状況に陥っても他人の
心配はするほどのお人よし。
絶対に損な性格だと思う。
でも、そんな日和が好きだから付き合って
あげるしかない。
「それで、サユはずっと日和ちゃんのこと
気になってるんだね。」
マコにはあたしの考えなんてお見通しで、
マコと一緒に居るのに日和のことばっかり
考えるあたしと一緒でいいのと聞いたことがある。
『あのね、サユ。
サユが日和ちゃんをどれほど大事に想ってるか
俺にはちゃんと分かってるつもりだからいいんだよ。
日和ちゃんは俺にとっても恩人だし友達だから、
日和ちゃんが幸せになれるといいと思ってる気持ちは
一緒のつもりだから。』
マコは他の人とは全然違う。
あたしの外見ばかりを見て下心丸出しの男とは
天と地の差ほど違う。
ちゃんとあたし自身を見て好きで居てくれる人
なんて滅多に居ない。
大体、あたしの性格でイメージと違ったと言って
来るのが普通なのに対してマコはあたしの素を
好きだと言ってくれる。

