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said:紗友梨





朝から日和がフラついていたのが気になった。

いつもより頬がほんのりピンク色で様子が

明らかに可笑しいのは分かった。

風邪をひいているなら休めばいいのに、全然

大丈夫って顔をする。

いつも日和は顔に出さない。

ポーカーフェイスの天才美少女なんて周りの

勝手なイメージを持たれているけど、日和は

感情表現を表に出すのが苦手で分かりづらいだけ。

辛いことも自分の中で隠し通しちゃうほどの

強い子で時々不安になる。

いつか日和がその我慢に耐えられなくなって

壊れちゃうんじゃないかって思うと少しの異変

も見逃せない。

日和がどれだけ強い子でもあたしだけはあの子を

甘やかせてあげたい。

弱音こそ何も言わなくて何でも1人でこなしちゃう

日和を分かってあげてるつもりでいた。

長い付き合いなはずなのに時々日和はあたしの知らない

どこかで1人頑張ってる気がする。

あたしの変な胸騒ぎだけで日和に確かめることなんて

出来ないけど、すごく怖くなる。

あたしには言えない何かがあるのかもしれない。

「日和ちゃんが?」

放課後、マコが迎えに来た。

それはいつものことだけど、日和のことを

気にしていたらどうしたのと聞いてきた。

マコは日和を大事に想うあたしのことを

理解してくれているから甘えたくなる。

あたしには勿体ないぐらいの人で、マコ

と付き合うきっかけをくれたのも日和だった。

マコは元々あたしが好きだったというけど

日和が相談に乗ってくれたりしたから今こうして

付き合うことが出来てるんだと話してた。