ようやく、見つけたと思った瞬間視界がゆらりと

動いてクラッとした勢いでガクンと膝が笑う。

力が抜けて体がいうことを聞いてくれなかった。

意識が朦朧とする瞬間体が地面に吸い寄せられた。

頭がジンジン痛くて何も考えられない。

どうも、熱が上がってる。

我慢に我慢を重ねた結果が今更襲いかかって来たのだ。

体がビクリとも動かなくて瞼がどんどん閉じていく。

ここで意識を失っちゃ駄目だと思いながらも、

体が限界を訴えた。

遠くで野球部のお疲れ様でしたが聞こえる。

体は鉛にでも覆われてしまったかのように

重くて深海に沈められたらこんな感じなの

だろうかと思う力だけはあった。

ガチャっと開いたドアに気付いた。

あたしはここに居ますと声さえ出ない。

相当意識が朦朧としていたのだろう。

野球部の人は入り口付近に片づけをして

いるから奥のあたしまで気付かないようだった。

どうか、気付いてくれよと思うもその願いは

儚く消え去った。

鍵を閉める音が聞こえて自分のピンチを

そこでようやく思い知った。

誰かあたしがここに居ることに気付いて。

ただそれだけだった。

声にもならなければ、動くことすら出来ない。

そんな状況下で鍵を閉められた。

これは焦らない人が居ないはずない。

どうしようもない孤独を感じた。

暗闇の倉庫は不気味で息が詰まりそうで、

震えるほどの寒気を感じた。

そう思ったのも意識がまだ残っていたからで、

気が付いたらまた意識を手放していた。

月明かりだけが差し込む倉庫の中に、

1人取り残された。

こんな経験は生まれて初めてでやけに

静かな倉庫の中のせいか心細さを感じて

サユとお揃いのストラップを握りしめて

瞳を閉じた。