Hurly-Burly3 【完】


ドキドキしながら通話ボタンに手を伸ばす。

心臓がこれでもかってぐらい飛び出しそうに

なったのは一瞬だった。

「・・・・はい。」

知らない番号から掛かって来るのは初めてで、

対処の方法がよく分からず声が上手く出なかった。

そんなあたしの様子をナル君が心配そうに伺う。

「あ、日和ちゃん?」

その聞き覚えのある声に安堵しておしぼりを

テーブルに投げつけた。

「こんばんわ、どうかしましたか?」

「夕飯一人になっちゃうかなと思って、

気付かなくてごめんな。」

やっぱり見た目と違って優しい人だ。

「いいえ、兄ちゃんが楽しくやってれば

良いですから。」

藤永さんの声の他に兄ちゃんが近くに居る

のかザワザワ煩かった。

「そっちも賑やかそうだな。」

よっちゃんたちの騒ぎ声が聞こえてしまったのだろうか。

あたしの居る場所は静寂だが。

みんなが電話だからか黙ってくれてる。

「はい、お友達とご飯ですから心配しなくても

大丈夫です。いつでも兄を誘ってあげて下さい。」

「透真には勿体ないほどの妹さんだよね。」

「お褒めの言葉ありがとうございます。」

藤永さんと兄ちゃんの関係が良く分からないが、

多分この人は兄ちゃんを心底好きな人だと思う。

「いや、女子高生のケータイ番号にかけると

なってはおじさん結構緊張して。」

「あたしも知らない番号からでとても緊張して

心臓が飛び出そうでした。」

何かの連絡用にメールを教えてくれると

有り難いんだけどなという藤永さん

「メル友になってくれると有り難いよ~」

それはとても嬉しいわ。

「ぜひとも、よろしくお願いします。

アドレスは兄ちゃんから聞いておきます。」

大人の方とメル友になるとは新たな試みね。

頑張ってお友達になれるかしら?