Hurly-Burly3 【完】


おじさんはこの間もよく食べてたもんなと

言いながら裏メニューを聞いたら持ってくるよ

と言って座敷を後にした。

「お前には遠慮って言葉がねぇのか?」

慶詩にだってないと思うけどね。

「遠慮なんてしたらそっちだって

遠慮してくるのではないのか?

ギブミーおしぼり!!」

馨君がはいっと温かいおしぼりをくれた。

「女っ気が微塵にも感じねぇな。」

「もうそれで構わんよ。」

おしぼりで手を拭いて水を一口飲んだ。

そっちの方がいいっていうなら区別なんて

つけなくてもいいと思う。

それにあたしがよく食べることは知ってるだろうが。

「それで体育祭に出ないのかね?」

ユウヤとか絶対に楽しみにしてそうだったのに、

さっきの馨君の言い方といい今の現状といい。

「多分、出れそうにないかな。」

それはすごく残念だと思う。

「最近、忙しいから?」

詮索はそんなに好きじゃない。

干渉はそこまでするつもりはないもの。

「何、そんなに気になる~」

伊織君、この鉄板に頭突っ込めばいい。

「別に好きにしたらいいよ。

ただ、残念だとは思うだけであって・・」

久しぶりの会話はやっぱりテンパるものがある。

今日はちゃんとクルミちゃんと彩乃ちゃんとも

お話したし、酒井さんとも仲良くなれたと思う。

女の子と男の子という性別は難しい。

「ヒヨリン、寂しい?」

ナル君が上目づかいであたしを見つめる。

鼻血を吹き出すのをグッと耐えた。

これぞ、耐久!!

「クラスメイトが大変だ。

人数合わせに試行錯誤している。

あたしも何故か最多出場になるそうだ。」

寂しいとは多分違うと思う。

女子との熱い友情を持てた今日。

何が不安って言えば、変な胸騒ぎだけ。