雨男ってことは雨を降らせるのよね。
「いつも晴れて欲しい時に限って発揮
するから嫌なんだよね。」
「自分がですか?」
馨君は悲しそうに空を見上げる。
何故か切なげに見えてあたしまで悲しくなった。
「もしかしたら体育祭も雨で中止になるかも
しれないから謝っておくね。ユウヤも美男も
楽しみにしてるからな。」
優しくて紳士な馨君が弱音を吐いているみたいで
何か力になれないかなと思った。
「それには心配及びません。」
だってね、馨君。
馨君が雨男だって言うならあたしは晴れ女だ。
「あたしはこう見えて晴れ女です。
馨君の勢力には負けません。
全力で挑んでみましょう。」
だから、そんな顔しないで。
優しい馨君が心を痛めることない。
雨なんて降らせやしない。
「日和ちゃん」
馨君が元気になりますように。
やっぱり馨君背が高すぎる。
あたしのつま先立ちにも限界がある。
「はっ、と、届きましたよ!!」
頑張って背伸びして馨君の頭をポンポン
撫でることに成功した。
届いたことに舞い上がって笑うと馨君の
手が頬を撫でてきた。
「か、馨君!?」
な、何だこのシチュエーションは!!
どっどどっどっどと心臓が激しく
騒ぎ出すのがよく分かった。
もしや、あたしのほっぺに何かついていたか?
昼間に食べたゴマ団子のゴマでもべっとり
ついていたのか!?
そうとは知らず随分長い間誰にも気付かれていない
のをたった今馨君が発見してしまったのかもしれないわ。
それは大変だわ。
馨君を目の前にそんな醜態を曝け出すなんてあたし
身だしなみをナメきってたわ。

