Hurly-Burly3 【完】


そしたら、いつかチャンスが巡って来るやもしれない。

「日和ちゃん、久しぶりに会ったね。」

きゅんとなるような笑みを浮かべる馨君。

いつからあたしが居ると気付いていたのか

それは謎である。

「馨君の邪魔しちゃった?」

オドオドしていたせいかワタワタ階段のところで

大混乱するあたしが階段から落っこちそうになった

ところ馨君があたしの手を引いて未然に防いだ。

馨君の心臓が丸聞こえなのは手を引かれた拍子に

馨君の懐に行きついたからである。

余計オドオドして心臓が口から飛び出しそうな

ほどのドキドキ感に叫びたくなった。

「日和ちゃん危ないから気を付けて。

寿命縮むかと思ったよ。」

今、まさにあたしの心臓が縮む。

ドッドドッドドドドッドと血行が良くなる感じで、

きっと血液の中に含まれているであろう白血球と

赤血球がレース争いしているんじゃないかってぐらいだ。

馨君、いい匂いする。

清潔な匂いなんだけどね。

って、あたしは変態か!?

「日和ちゃん・・・・・・」

ハッ、またもや馨君が困った顔を浮かべる。

「か、馨君ごめんなさい。」

この間、何も言えずに帰ってしまって怒ってる?

「いいよ、久しぶりに日和ちゃん見たから。」

うっ、右ストレートに攻撃を!!

「この間もあたし・・勝手に帰っちゃったし。」

「サユリちゃんの勢いにはビックリしたけど

仕方ないよ。元々、一緒に回ってたわけじゃない

んだし気にしなくていいよ。」

か、馨君優しすぎる。

カウンターパンチにノックアウト寸前だ。

「じゃあ、嫌われたわけじゃないの?」

でも、待てよ。

最近の放置プレーは何!?

随分と寂しく思わされたじゃないか。

これは新たな友好の現象だったって言うの!?

それは勉強不足だったわ。