練習が終わった放課後サユはマコ君が迎えに来て
帰って行った。
日和も一緒に帰る?と聞かれたがスーパーに寄る
のでお2人でどうぞと言った。
さすがにラブラブな2人の邪魔になりたくない。
今朝は兄ちゃんが藤永さんとバイトで仲良くして
くれてる人とで食事するから夕飯はいいよと言っていた。
今日は1人ということで何を食べようかなと思いながら
学校を出ようとしていた時だった。
いつも不良メンバーズの居る教室へと繋がる非情階段
のところでふと気になる人物を発見した。
たまたま見ただけだけど何かに思いつめている
ような表情で空を眺めているその人物に声を掛ける
べきなのかそうしない方がいいのか考えてみた。
大和さんの言葉が脳裏に浮かんだ。
何かきっかけがあればと探してみたら
こんなところに転がっていたという具合だった。
状況を変えるには自分で動かなきゃ何も
変わったりしない。
待ち望んでいるだけでは駄目なのよ。
それじゃあ、童話に出てくるヒロインじゃないか!!
待ってるとか絶対にあたしの性に合わない。
あたしにはきっと似合わないわ。
だから、あたしは立ち向かっていく。
ジッとしてられないだけなの。
非情階段を登って行くことにした。
ゆっくりとその人物に近付いておちゃめさ
たっぷりに驚かして最近のことは水にでも
流しちゃえみたいな感じでと思ってた。
綺麗な横顔で物思いに考え込む姿を
見たら言葉を失った。
驚かしていい雰囲気なんかじゃない。
そっとした方がいいのかもしれないと
さえ思ってしまった。
どうしよう、ここまで来てこのまま
帰った方がいいのかもしれないけど、
気になって寝れなくなる今夜を思い浮かべると
足が地面に張り付いたように動かなくなった。
声すら掛けられる雰囲気じゃないならいっそのこと
また地蔵のように動かないで居よう。

