焼き鳥丼まで頬張るあたしに大和さんは
優しく笑いながら良かったですねと言う。
大和さんの大人度は最高クラスだと思う。
兄ちゃんも見習ってくれないかな?
少しでも落ち着きを持った行動をして欲しいわ。
焼き鳥丼をぺろりと平らげると店のおじさんは
いい食べっぷりだったよまたおいでと言ってくれた。
多分、ここは行きつけの店になりそうだ。
帰り道は海岸沿いをドライブした。
大和さんの運転は安全運転で安心して任せられた。
助手席で大和さんの運転捌きをチラリズム方式で
覗き見る。
何故、チラリズムで見るのかって?
そりゃ、もうかっこよさに完敗だからだ。
「秋の風は涼しくなりましたね。」
大和さんが来たのは夏の終わりぐらいだったものね。
まだ暑くて生暖かい風が吹く頃だった。
一か月は日本に滞在していたかな?
今度はいつ来るんだろうか?
「うん、もう少ししたら寒くなるのかな?」
寒い季節は苦手なんだよね。
寒いのはどうも駄目だ。
「そうですね、温かくして風邪をひかない
ように気を付けて下さいね。」
大和さん、優しいお言葉ありがとうございます。
「はい、気を付けますッ!!」
「良い子ですね。」
左手で優しく頭を撫でてくれた大和さん。
大和さんが頭を撫でてくれるのはよく頑張ったねって
時だったりする。
学校で作文コンクールで最優秀賞に選ばれたり、ピアノ
の発表会で難しい課題曲を引き終わった時とか、運動会
のかけっこで見事に1位を収めた時そんな時に頑張りました
で頭を撫でてくれると嬉しかったりした。
大和さんにとっては大したことじゃないことでも、
誰かに褒めて貰えることはあたしを認めてくれた
気がしてそれまでの頑張りが報われた気がした。
どんなに辛い練習があってもそれを思い出すたび、
次も頑張ったねって言って貰えるように頑張ろうと
思うことが出来たのだ。

