Hurly-Burly3 【完】


大和さんは少し考える素振りをしながら、

「塩味のさっぱりしたような感じですか?」

オードブルへとナイフとフォークを伸ばした。

大和さんっぽいのかもしれない。

そういえば、大和さんの好きなモノってあまり

聞いたことなかったような気もする。

「あたしの醤油の次ぐらいに好きですよ。

こってり派のとんこつやみそなんかもたまに

食べたくなります。」

食べ物の話になると永遠と語れる気がする。

「日和様はラーメンがお好きなようですね。

最初からラーメンにした方が良かったですか?」

「ううん、大和さんと来る場所はどこでも

有意義に過ごせるからいいの。」

くだらない話でも大和さんは真面目に受け答え

してくれるんだもの。

「そうですか?」

「予約までしてくれて連れて来てくれたお店だもの。

とっても嬉しいですよ。」

こういう緊張感も時には必要だと思う。

いつかはこういうお店に行くのが当たり前に

なるかもしれない。

「お仕事は大丈夫なの?」

大和さんはしばらく休むことなく仕事をして

いたみたいだったけど、体を壊さないように

気を付けて欲しい。

「だいぶ、落ち着きました。」

さすが、大和さんだ。

「それなら良かった。」

スープが運ばれてきた。

「10月には一度戻らなければなりません。

未依様から会議の準備をするようにとの

ことだったので、日和様とゆっくりお話し

出来るのも今日ぐらいになってしまいますね。」

それもそのはずだ。

もう9月も末頃。

10月はもうすぐにやってくる。

大和さんはまたあの母さんの元に戻って

忙しく働かされるんだろうな。