「はい、もちろん。暇してます!!」
丁度、明日は何も予定が入ってない。
大和さん、やっぱり透視が出来るのが
得意技なのではないかね!?
エスパー大和で注目を浴びる日がもしや
来るのかもしれない。
『それでは、仕事が片付き次第迎えに行きます。』
大和さんのおやすみなさいで電話が切れる。
このところ、ゆっくりと近況について整理
しきれなかったところがあるから丁度良かった。
さすがにみんなのことを言うことは出来ない。
心配をするかもしれない。
もしかしたら、大和さんは快く思ってくれない
かもしれない。
だから、大和さんには未だに秘密だったりする。
みんなが不良だから言わないわけでもない。
ただ、あたしが普通じゃないのが原因だ。
みんなはどこも悪くない。
『ハニー、どうだい?眠れそうかい?』
もしも、今すぐ眠れる森へと招待して
くれるならあたしはいっそのこと意識を簡単
に手放せて安眠につくことが出来るのに。
さすがに、お姫様になんてなれなくていい。
でも、王子様にもきっとなれやしない。
茨の道に迷い込んだまま傷だらけになるぐらい
ならお城の中で永遠の眠りについていた方が
ずっといいのかもしれない。
「ダーリンが白馬の王子様になってくれればいいのに。」
『ハニー、妄想にトリップしたままとかやめてくれよ。』
ハーブティーを淹れにキッチンに立つ。
カモミールは最高の癒しだ。
リビングの窓から入ってくる風は秋らしく
涼しくて肌を滑る。
「でも、ダーリンはやっぱり白馬の王子様
になっちゃ駄目だよ!!あたし絶対にお姫様
とか出来ない自信がある。」
ダーリンは足元でケッと言いながらソファーに
戻って行くのだった。
お姫様なんて可愛くて守ってあげなきゃいけない
ような女の子がなれるものにあたしが収まるわけ
ないんだもの。

