Hurly-Burly3 【完】


鼓動の音がゆっくりと鳴る。

『眠れないのですか?』

大和さんはいつだって傍に居てくれているような

感じであたしの変化に気付いてくれる。

「少し・・ジグソーパズルに躓いて。」

上手く組合すことが出来ないジグソーパズルを

理由にすることが出来た。

そういえば、何で眠れないんだろう?

こんなことは珍しいことだ。

『朔夜様からのプレゼントですね?』

大和さんはクスリと笑った。

「うん、星空のジグソーパズルなんて

難し過ぎるでしょう?」

お兄ちゃんが好きそうなパズルだよ。

出来たらお兄ちゃんに再プレゼントして

あげたいほどに綺麗な夜空。

『日和様には簡単なことではないですか?』

「それが意外と細かい作業に気が遠くなる

一方で目が疲れちゃった。」

脱力してジョセフィーヌの頭を撫でながら

電話を左手に持ち替えた。

大和さんはあたしを何だと思っているんだ?

『そうですか、お疲れ様です。

ハーブティーをお淹れしたいところですが

生憎近くに居りませんので出来かねますね。』

大和さんのその優しさだけで十分疲れは吹っ飛びます。

「自分で淹れられるから大丈夫。」

何でもかんでも自分で出来るのよ?

『貴女は頼ろうとはしてくれないのですね。』

大和さんの低い美声が耳に残る。

「大和さんはあたしを見くびっているのね?

あたしは簡単に頼ったりなんかしないわ。

でもね、大和さんにはこう見えて甘えてる

つもりだよ。」

大和さん以上にあたしを理解してくれている

人は数少ないと思う。

いつだって、ピンチになると現れるスーパー

ヒーロー的な存在だから。

大和さんはあたしの重大な秘密を知る人で、

きっと最後の最後まで力になってくれると

あたしは信じている。