もう一度自販機に戻って藍ちゃんがよく飲んでいる

ミルクティーを購入した。冷たくて手が良く冷える。

そして、本を読みながら音楽を聞いている藍ちゃん

の頬にピトリと缶のミルクティーを背後から押し付けた。

「・・・変質者かと思った。」

相変わらず、クールな対応ありがとうございます。

「ビックリしました?」

ふふっと笑う藍ちゃん。

今日は一段とその容姿を引き立てるお洋服だ。

白いブラウスに紺色のスカート。

「今日は何かあったのですか?」

それに髪が弄られていていつもの雰囲気と

また違ってドキドキ感がある。

「・・・人と会ってた。」

藍ちゃんの瞳が悲しそうに落ちる。

「それはあまり聞かない方が良いですか?」

藍ちゃんとはたくさんを語らない。

踏み込んでいいところがどこまでなのか

それはあたしも重々分かっていた。

自分だって聞かれたくないことの一つや

二つがあるからだ。

「聞いても面白くない。」

「嫌なことは嫌だと言って下さい。

藍ちゃんの意思を大事にしたいのです。」

話を逸らしたいならそれでいいんだよ。

無理に言おうとしなくたってちゃんと分かる。

藍ちゃんを嫌ったりしない。

「・・・あたしを嫌いな人に会った。」

藍ちゃんを嫌いな人!?

それはどこのどいつだ。

下駄箱の上履きに画びょうを入れてやるぞ!

「あたしはあまり好かれたりしない。

日和と違ってあたしは愛想が良くもなければ、

可愛くもないから。」

「誰がそんなこと!?」

藍ちゃんは十分可愛いよ。

あんまり笑ってはくれないけど最近はよく

あたしの話で笑ってくれる。

愛想だらけのあたしなんかよりもずっと正直

に生きてる。