「おいおい、待てよ。
ひよこのお嬢お前こんなことが頻繁に起こってるか?」
「いや、初めてだ。
人にあんなにはっきりと告白されたのは人生で初めて
だと言っても過言じゃない。」
伊織君、あたしはちんちくりんなんです。
「えっ、日和ちゃん誰かと付き合ったことすらないの?」
男はキョトンとあたしを見る。
「ない。興味がない。」
「Reary?」
何故、急に英語になる?
「この手の話は苦手だ。
出来れば他を当たってくれたまえ。」
大体、あたしは人付き合いだって避けて
きたほどだ。
誰かを好きになるとか考えただけでも
蕁麻疹が出てきそうだ。
「だとよ~」
伊織君の言葉に男は残念そうにソファーに
座り直した。
そして、鏡を取り出してファサ~と髪を念入れ
にチェックしだした。
彼は多分俗にいうナルシストという分類に入る
方なのだろう。話には聞いていたわ。
自分のことを好き過ぎる人間。
生命はとっても不思議だわ。
人間にもいろんな人に分類されるんだもの。
「ところで、何の用だっけ?」
男がウィンクをしてくるので背筋が凍りつく。
いや、イケメンだけど許せぬ。
「東の件ですよ。」
部屋に居た男の人の声が後ろから聞こえて
きてビックリした。随分と存在が薄かった。
「ああ、その話か。昨日の今日で来たわけか。」
あたし、聞いてていいのかしら?
「片付いてんだろうな?」
「片付いたも何も昨日あの後の処理は全部
蒼大が引き受けてくれたからね。」
処理とは何かしら?
そこはツッコミを入れるところなのだろうか。

