そうよ、人間違いだわ。
「ハッ、こ、この絆創膏は君がくれたんじゃないか!!」
ポケットから取り出した絆創膏を見せつけてくる。
「あら、あたしが持っている絆創膏と一緒だわ。
貴方もひよこさん絆創膏の使用者だったのね。」
「ち、違う!!金曜日、君がくれたんだ。」
き、金曜日!?
う~ん、ちっとも思い出せないわ。
あの日は散々で今も思い出したくない。
「あ、あの知恵の輪の?」
「そうさ!!」
よくあんな暗闇で知恵の輪なんかやってられる
と思ったのよね。
「君は二度も俺のピンチを救った女神だ。」
「それは言い過ぎなのではありませんか?
そして、何を救ったのでしょう?」
あたし突進しかしてないわ。
あの日の夜も突進、今も突進した。
「あの日から心を奪われたままなんだ。」
「ゾッとするような歯の浮くセリフです!!」
と、とにかく、この手を離して頂かないと。
「ド突きあいはご免です!!」
「だから、君は何か勘違いをしている。」
みんな、何をキョトンと見ているのだ。
今、まさにあたしがピンチだ。
「勘違いならあなたがしているのではないですか?」
「もしかして、他に好きな男でも居るのかい?」
迫りくると言うのはこういうことなのかしら?
「・・・・好きな男?」
いきなり、何を言い出すんだこの男!!
「付き合うってのは男女の意味で何だけど?」
男女?
付き合う?
ツキアウ?
「分かった、こういえばストレートに伝わるかな?
俺の彼女になって下さい。」
「結構です。」
即答したあたしに目の前の男が氷河期の世界へと
旅立ったのだった。

