Hurly-Burly3 【完】


「そんなわけありませんよね。」

別の男が呆れたように口にすると、

「そうだぞ、そんなわけない!」

馬鹿っぽいその男は自分に言い

聞かせるように言った。

唖然としてしまう馬鹿っぽさに油断した。

その隙に、馬の被り物をあっさり外された。

扉をバタンと閉めた後ろの男。

「き、君は!!」

えっ?

殴られるかと思ってみたら両手をぎゅっと掴まれた。

意外と顔が整っている。

何だ、イケメンだったのか。

「いきなり言われても迷惑かもしれないけど、

お、お、俺は・・・・」

ちょっ、顔が近すぎます。

「お前、上條と知り合いだったのか?」

慶詩があんぐり口をあけて聞いてくる。

「いいえ、あたしはこんな人とお知り合い

になったことがございません。」

人の顔を見るなり何かしら?

「俺と付き合わないか?」

その男に真剣に言われた。

みんなの目が飛び出そうになる。

「突きあう?とんでもない、頭突きは不得意

種目だ。頭突きなら慶詩の石頭の方が良い

ド突き合いになると思う!」

愛想笑いを浮かべてにっこり笑った。

すると、真っ赤に顔を染める目の前の男。

「俺を巻き込むなっつうかどうなってんだよ!!」

「えっと、あの手を離して頂けないだろうか?」

そんなに潤んだ瞳で見つめられても困る。

あたしはド突きあい出来ない。

「君は俺の幸運の女神なんだ。」

いきなり、何を言ってるのかしら?

この人手を離してくれない。

「な、何かの間違いではないですか?」

こんな美形の人とあたしはお知り合いに

なった記憶がない。

これだけ、顔が整っているなら覚えている

はずだもの。