※日和は軽いため器械体操が得意です。
あ、あら!?
な、何故かしーんと静まる空間。
「ひよっ・・、馬。」
ユウヤ、あたしはどうも存在感がないみたいだわ。
ズーンと落ち込みながらトボトボ歩いた時のこと、
ズルっとまたしても何かに滑って前のめりになる。
声が出そうになったのを持ちこたえたものの、
頭からの落下は免れなかった。
ドサっと何かにアタックしたみたいで確実に
鈍い音が聞こえた。
「いたっ・・・・・ん!?」
えっ、誰かにぶつかりましたか?
ここがどこの地点かもよく分かりません。
でも、転んだはずなのにちっとも痛くない
というのは奇跡なのかしら?
「く、クリアした!!」
いきなり耳元に大きな声が聞こえてビクッと跳ね上がった。
見知らぬ声が頭上から聞こえます。
恐る恐る視線を上げて見る。
「君、何か軽くない?
もしかして、この子女の子?」
えっと、知らない人と接触事故を起こした模様です。
「そ、そんなわけないだろ。」
「まさか、こんなところに女の子連れてくる
わけあるかよ。」
慶詩とユウヤが焦って口にする。
確かに分かることはみんなは必死にあたしが
女であることを隠そうとしている。
「増々、怪しいな。」
サーッと血の気が引いて行く馬子。
「馬、こっちに戻って来い。」
伊織君の言葉にそうねと頷いて戻ろうとした
瞬間だった腰に手を回されて見知らぬ男に捕らえられた。
「ほら、手首もこんなに細い。」
な、何と言う勘の鋭さ。
彼は探偵を目指しているのかしら?
それとも、刑事さんになりたいのか!!
手首を掴まれてもちっともドキドキしない
のはちっとも状況を把握していないからだ。

