Hurly-Burly3 【完】


そして、あたしがナル君の隣に座ろうとした

その時熱い視線を感じた。

「その馬は何だい?」

やっと、誰かにツッコまれた。

今までここに来るまで誰ひとりあたしに

触れるようなことは言わなかった。

だから、あたしは本当に魂だけの地蔵に

なったのかと内心心は焦っていた。

「これは連れだ、気にするな。」

ちぃー君はさっそくテーブルに出された

お菓子に手を伸ばす。

「それが気にならないわけないだろう。

中身は美男?その割には随分オチビさんに

なったようだけど?」

よっちゃんはあたしよりも遥かに背が高い。

あたし、座れない。

みんな座ってる中、オロオロした。

この部屋に居る人全員があたしに視線を

向けるからだ。

みんな意外に一番奥で座っている男の人が

さっきの鏡を持った男でもう2人部屋の中に居る。

何だか、一気に緊張が走る。

ジェスチャーをするべきなのかと考えて見る。

でも、ナル君がじっとしててと言っていた。

あたしはどうするば良いのかしら?

「ひよっ、馬子さんこっちだよ。」

ナル君、あたしを馬子さんって言った。

ここは馬子で笑いを取れということなのね!!

ぜひとも、頑張るわ。

さっき一生懸命頑張って取得した大技があるのだ。

それをこんな場で披露するとは夢にも思わなかった。

助走を付けるために一先ず部屋を一旦出る。

馬がいきなり出てきたことに廊下に居た不良たちからも

一気に視線が集まる。

これはみんなに期待されている感じがするわ。

颯爽に走って倒立前転を連続で繰り出してからの

側方倒立回転に展開してからの2分の1ターンをして

最後に見事な大技であるハンドスプリング!!

きっ、決まったわ。

笑いは取れずとも少し馬子が出来る女だって

ことが見せつけられたわ。