男子校というものはこんなに散らかっているのね。
男の子だけの空間というだけあってそこらへんに
ボールが転がってたりと前途多難な道のりだった。
どこまでも廊下は続いているように見える。
空気がどうも違う気がした。
さっきのおちゃらけた雰囲気はどこへやらで
完璧に空気が違うみんなに戸惑いながらもこんな
ところで置いて行かれても困るので頑張って着いて行く。
「黒宮さん、少々お待ち頂けますか?
どうも支度に時間が掛かっているようなんです。
ここ数日、上條さん上の空で・・・」
すいませんと頭を下げるこの人は何故ちぃー君に
謝っているんだ?
しばらく、待つこと20分ちぃー君が欠伸をする。
「まだか?」
慶詩が若干イラついている。
「今日は一段と遅いね。」
馨君ですら少し不機嫌になっている。
誰かを待っているようだ。
目の前にはスプレーで描かれた意味の分からない
絵が描かれた不気味な扉が控えている。
伊織君、校舎で自然に煙草咥えてる。
しかも、頭を下げた低い姿勢の人が
灰皿を伊織君の前に出す。
文句を言いたいわ。
ここは学校ですと言いたくてしょうがないけど、
グッと堪えて廊下の壁に頭を打ちつけた。
無念の懺悔である。
喋るなとちぃー君が言っていた。
ナル君に駄目だよと言われて引き留められた。
「ヒヨリン、じっとしてて。」
コクリと頷いて銅像になりきるようにじっとした。
あたしは地蔵になった気分だった。
皆さん、知っていますか?
道端によくご覧頂けるお地蔵さんは地蔵菩薩という
そうですよ。像は慈愛に満ちた円満柔和な僧形に作り
チャーミングなんです。
仏像巡りにも行ってみたいわ。
大仏というのも見てみたい。
本の世界でしか見たことはないから、
実際に見てみたら感激するんだろう。

