目を瞬かせてその声の元をこっそり見る。
まだ、俺しか気付いてねぇ。
馨は京と向こうのイベントは何やってるのか
なと呑気に会話してるし、ナルと慶詩とちぃーは
綿あめ買ったばっかりで伊織は女に声掛けまくっている。
あの声は確かにいつも聞く声。
間違うわけないんだよな。
でも、そこに居るのは馬の被りモノした人。
あれがまさかな。
聞き間違いだよな。
そうだ、そうだ、こんなところであんな被りモノ
してるヤツと友達とか笑えねぇ。
あれはここの生徒が何かのイベントで子どもたちを
楽しませているってことだよな。
男の子が無茶ぶりで人参食えよとか言ってる。
「馬子さんは人参が食べられないのである。」
だけどよ、その声はやっぱり聞き覚えあんだよな。
嘘だろって思いながら俺がその光景を見ていると、
綿あめを両手に持ったちぃーがじーっと馬子を見ている。
それに釣られるようにしてナル、慶詩、馨、京と馬子
を見るギャラリーが増える。
女のケー番ゲットした伊織もとうとうやってきた。
「馬子、じゃんけん出来るか?」
「だるまさんが転んだは得意中の得意ですよ!!」
「馬子、馬子」
「馬子さん、こっちで一緒に遊ぼう。」
何故か子どもに好かれてる。
普通子どもでもあれは引くだろ。
あんな被りモノしてる人が子どもたちと
だるまさんがころんだとかその図を見たいヤツは居ねぇよ。
「良いですよ、待ち時間がてらお相手致しましょう。」
そして、その声にはやっぱり引っかかりがある。
「ユウヤ、あれいつ見つけた?」
「慶詩、俺は随分前から見つけてた。」
やっぱり、あれは・・・・・・・
「何で、馬がこんなところ居んだ?」
ちぃーが天然なのは知ってたけどさ、
さすがに足が2足歩行なの見て人間だって
気付こうぜ!!

