だって、馬子さんの被りモノ結構ゴム臭い。
買ったばっかりだと思われるよ。
「とにかく、ここから動くなよ。」
た、田中このまま放置ですか!?
「馬子で居なきゃ駄目なの!?」
「それ結構似合ってる。」
田中の目は異常だと思われる。
「眼科を勧めるぞ!」
医者に行った方が良いのではないかと思う。
「日和ちゃん、絶対に動かないでくれよ。
俺、結構方向音痴だからさ。」
そんなの知ってるよ。
田中の方向音痴伝説は数々あるもんね。
「分かった。」
しょうがない、田中のために馬子さんで
一発芸を考えて見ようかしら。
馬子さん意外といいね。
かくし芸大会で馬子さん仮面として
登場してみよう。
よっちゃんにこの馬子さん見せたい。
休み明けに被って登校しようかしら?
最初は嫌々被ったけど臭ささえ我慢
すれば結構楽しい。
子どもに馬が居ると指さされる。
子どもたちと一緒に手を繋いで
グルグル回ってみるとメリーゴーランド
みたいだなと思った。
「馬子さんって言うのよ。」
馬は人参食うんだよって男の子に
無茶ぶりをさせられた。
そんなところをまさか思わぬ人に
見られていたとは知らずに馬子さん
になりきっていた。
あたしは馬子。
日和の魂は一時封印中よと思い込んで
馬子さんを演じていると白い目でこっちを
見ている人たちが居ることをこの後知るこ
とになる。
どうも、ずっと視線が痛いのです。

