夏休みに突入し、慧くんママと慧くんと一緒にイギリスへと渡った。
台湾とシンガポールには家族旅行で行ったことがあるけれど
イギリスは初めてで、見るもの全てに感動する。
「絢?」
「あ、はい」
「ボーっとしてると迷子になるぞ」
「っ……」
「ん」
「/////」
慧くんママがいるのに、手を差し出された。
いいのかな?
目の前でいちゃついても……。
慧くんの言葉で振り返ったママさんの視線が、
慧くんの手元に落とされてるのに……。
「余計な心配すんな」
「っ/////」
躊躇している私の手をぎゅっと握って来た。
「そうよ、絢ちゃん。そのために慧がいるんだから、犯罪防止のためにも、慧から離れないでよ?」
「犯罪っ?!」
「置き引きとかスリとか、……痴漢とか」
「っ……」
日本でだって痴漢やスリとかはあるけれど、
知らない土地っていうだけで全然違う。
だって、スリや痴漢に遭っても、警察で説明出来そうにない。
思わず、彼の手をぎゅっと握り返してしまった。
「とりあえず、今週は大学を廻って志望する所を絞りましょ」
「……はい」