期末試験最終日の放課後。

SHRが早く終わり、

彼が迎えに来る前にトイレに行っておこうと思って。

帰り支度だけ済ませて、トイレに行ったら……。

『卒業まであと数か月だし。夏休みに神宮寺くんに告白しようと思って』と聞こえて来た。

個室から出るに出れなくて、

不可抗力でその会話を耳にしてしまったんだけど。

『彼女いるよ?あ、でも、仕方なく付き合ってるとかいう噂もあるし、もしかしたら乗り換えてくれるかもよ?』

……え。

何、それ……。

噂はあくまでも噂なんだと思うけど。

それでも、一瞬、彼のことを疑ってしまった。

いやいやで付き合っているというよりも、

私に厭きてしまったのではないか?と。


学校では未だに王子様キャラの仮面を被ってる彼は、

誰にでも優しく、優等生であり続けている。

そんな彼とお近づきになりたい人なんて沢山いて。

視界に映る女子生徒が全員、敵に見えてしまうほど

今の私、物凄く病んでると思う。


期末試験の結果が伸びなかったことも要因かもしれないけど。

たぶん、根本的なところはそこじゃない。

私、自分に自信が無いんだと思う。

何でも完璧にこなす彼と不釣り合いだと思ってしまうから。