キッチンから飲み物やおやつを手にして2階に上がる。

母親に目で『暫く来るなよ?』と訴えておいて……。

まぁ、母親も分かってるはず。

昨日の今日だし。

俺が絢にちゃんと態度で示すということになってるから。


絢はいつものようにラグの上にちょこんと座って、

自身の鞄から何やら取り出している。


「慧くん、これうちの両親から」

「え、……なんか気ぃ遣わせたな」

「袖下だから、ウフフッ」


うちの両親も用意してるからお互い様だけど、

こういう事が出来ること自体が嬉しくて。


「絢、ちょっといいか?」

「ん?」


ティーポットから紅茶を注ぐ手が止まり、

ポットをテーブルの上に置いて、俺に視線を向けて来た。


「話があるんだけど」

「……ん、何?」


ラグの上に座る彼女の腕を引き寄せ、

ソファーに座る俺の横に座らせて。


「俺さ、大学入ったら会社立ち上げようと思ってて」

「えっ?!……会社??」

「ん」


予想通り、絢は驚愕の表情を浮かべた。