「明日、話してみる」

「あら、クリスマスに~?」

「っ……」

「うちに来る予定なの?」

「ん」

「じゃあ、ご馳走作らないとね♪」


なんか、こういう流れ苦手なんだけど……。

まっ、いいか。


その夜。

ネットでお気に入りの香水を2つ購入した。

1つは自分用、もう1つは彼女用に。

**

翌日。

母親は朝から張り切っていて、

鼻歌交じりで掃除をしたり、ケーキを作ったりしている。

父親は出張中で不在。

俺は絢が来るのを今か今かと待ち侘びていた。


10時少し前、絢がうちに来た。

相変わらず可愛いっっっ。

白いモフモフのセーターに赤いチェックのスカートを合わせて。

緑色のバッグを手にして、クリスマスコーデらしい。


「メリークリスマス」

「っ/////メリークリスマス♪」


玄関先でいう言葉じゃないかもだけど、

初見で言わないと効力が薄れる気がして。


「絢ちゃん、いらっしゃい☆」

「こんにちは~お邪魔します」


ぺこりと挨拶した絢は、

ショートブーツを脱ぎ、しっかりと靴の向きを揃えて端に寄せた。

こういう当たり前のことが出来ることが男心を擽るんだよな。