慧くんの家に到着した私達は、

おやつと飲み物を手にして2階に上がる。

彼の部屋に入ると、既に部屋は温められていた。


「あったかぁ~いっ」


コートとスヌードを脱いで、

お決まりの所定の位置に座ると。

ホットカーペットも既にONになっているようで

さっき、彼が『連絡入れとこ』と言ったのを思い出した。


「慧くん、ありがとっ」

「ん?」


エアコンとカーペットを指差すと

フッと一瞬だけ表情を緩めた。


「絢、進路決めたか?」

「ん~、特には」

「やりたい事とかは?」

「それも、特にこれと言って」


試験前になると、必ずと言っていいほどに聞かれる質問。

照準を何処に合わせるのか、気になるのだろうか?

それとも、志望するところが気になるのか。


「慧くんは?」

「俺?……どこでも構わないけど」

「え?……どういう意味?」

「絢がいる所なら、どこでも」

「それ、進路の話じゃないよね?」

「進路の話だけど?」

「へ?」


彼の言葉に軽く脳内が思考停止した。