「……お前が作った睡眠薬入りキャンディは効果覿面だな。紗矢子さんはなんだって?」




 シートに崩れる奈央の様子を見向きもしない奈津美に、初めて運転席の男が口を開いた。




「秘密よ、誰にも口外しないように言われたから……」



「ふん、まるで犬だな……」




「あなたも諜報員なら、仲間内でも守秘義務はわかるでしょ」



「はいはい」



 男は面倒くさそうに返事をするとアクセルを踏み直した。