「ゆの、こっち」

「えっ?」


お義父様がお弟子さん達に指示を出している中、

私達は隣接する紫錦庵の方へと。


人気の無い茶室の手前で。



「ゆの、ごめん。少しの間、充電させて」


急に抱きしめられると、

どうしていいのか分からない。


だけど、

着物越しに伝わる彼の鼓動の速さ。


それはいつもより数倍早い胸の鼓動。


……もしかして、緊張してる?



「隼斗さん?」

「………」


黙ったまま……静かな時が流れる。


小鳥の囀りと揺れる木々の音。

微かに届くお弟子さん達の声。


ゆっくり流れる時を感じて…。



深呼吸と同時に緩められた彼の腕。


そっと隼斗さんを見上げると…


―――――――チュッ。


甘く唇が塞がれた。


軽く啄められた口づけは

……甘い余韻を残して。



「ゆの、行こうか?」

「///////////」



小さく頷く私の手を取り、

華やかな舞台へと歩み出した。