家元の寵愛≪壱≫



静まり返る寝室で……。



私は愛しの隼斗さんの腕に抱かれ

まな板の鯉のように

彼に身を委ねるしか成す術が無い。



こういう時はどうしたらいいの?



緊張しすぎて呼吸が辛い。





「ゆの」

「……はい」

「茶会まで、あと1週間だな」

「……そうですね」

「実を言うと、ちょっと不安なんだ」

「えっ?」

「毎日のように点ててるお茶も不安で堪らない」

「……何でですか?」

「親父の点てるお茶と違って、万人受けするだろうか?」

「………万人受けさせようとしなくていいんじゃないですか?」

「………」

「心を込めてお茶を点てる。ただそれだけで」

「………フッ、そうだったな」




抱きしめられていた腕が一瞬、緩まると



「んッ!?」



更に強まった腕に捕らえられた。


向かい合う私の身体は…

隼斗さんの首筋に顔を埋める形で。