家元の寵愛≪壱≫



ふわりとひざ掛けで包まれた私を

さらに包み込むような形で抱きしめた。



「寒いか?」


背後から耳元にかかる彼の吐息に

軽く眩暈を覚え始める。



隼斗さんはカップの中のココアに

フゥ~フゥ~っと息を吹きかけ、



「ん、少し熱いかもしれないが身体が温まるぞ?」

「//////////」



背中越しに感じる彼の体温

耳元にかかる甘い吐息

目の前に差し出された彼の優しさ



その何もかもに酔いしれ、私は倖せを噛みしめた。



「は、隼斗さんは飲まないの?」

「ん?俺?………飲むよ?」

「ん?」

「ゆの、ちょっと飲んで?」


言われるままに少し口に含むと


「……んッ!?」


強引に唇を奪われて、

唇から漏れたココアを舐めている。



「んッもうっ!!//////」

「甘くて旨い」


悪戯っぽく微笑む彼。

頬と頬が触れそうな距離。

ココアの甘い香りが漂う室内。


ココアの甘さに負けないほどの

甘い空気が私たちを覆っていた。