家元の寵愛≪壱≫



お色直しをしている間に教えて貰った事。


普通なら乾杯の挨拶の後にケーキカットらしいが、

パフォーマンスの経緯もあって、順番を変えたらしい。


それに普通なら主賓祝辞というモノもあるらしい。

けれどそれも、『堅苦しい』の一言で組み込まれていないのだとか。


隼斗さんらしいと言えばそうなのかもしれないが、

きっと、場馴れしていない私の事を考えての彼の優しさ。

緊張を極限に抑え込み、心の底から愉しめるようにと。



隼斗さんとは別の部屋で着替えを済ませ、軽くメイクも直された私。

鏡に映る自分に息を呑んだ。


「ゆのちゃん、綺麗よ」


さゆりさんの言葉が心に響く。

思わず頬が綻ぶと、


「この髪飾りは華道家・桐島蘭清さんのオリジナルデザインだそうで、先程のブーケも会場を彩る花々も全て彼による演出だそうよ」

「えっ?!」

「華道界の大御所に祝って頂けるなんて、本当に羨ましいわ」



そういえば、先日お義母様と桐島家に伺った際に

真剣な表情で私を見ていた。


私の顔を隠して何やらイメージを浮かべていたっけ。

それに、私を作品のイメージモデルだとおっしゃっていた。


―――――全てはこの日の為に。