家元の寵愛≪壱≫



「ん?」


見るからにグラスにそぐわない色のその飲み物。

シャンパングラスなのに透明じゃない。


会場もざわざわと声が漏れ出すと、



「えぇ~では、乾杯の音頭を取らせて頂く前に、皆様のお手元にございますこちらのお酒は、ご新郎自ら考案した『抹茶シャンパン』でございます。茶道の家元らしい心遣いですよね。そして、ご新婦を始め、ご新婦のご友人の皆様は未成年という事もございますので、こちらはノンアルコールとさせて頂きました。仄かに広がるお抹茶の香りをお楽しみ下さい」


静乃さんがそう言い終えると、会場は温かい空気に包まれた。

彼の優しさがそうさせたモノ。


そして、玲のお兄さんの乾杯挨拶で宴がスタートした。



一様にグラスに口を付け、歓談が始まると、

先程までとは言わないが

会場内が一気に薄暗くなり再び静けさが訪れた。



今度は何なの?


辺りにキョロキョロと視線を泳がせると、

会場内の左側に設けられていた厨房ブースにスポットライトが。



「えっ?!」