家元の寵愛≪壱≫



披露宴会場の右端の扉に一筋のスポットライトが照らす。

そして、軽快な音楽と共に姿を現したのは……。


「えぇ~ッ?!凄~~い!!」


思わず、声が漏れ出すほどの豪華なウェディングケーキ。

しかも、


「えっ?!………正木さん?」


ケーキを運んでくる男性の姿に驚いた。

真っ白なコックコートで登場した彼は優しい笑みを浮かべていた。


ステージと私達の席の間に運ばれて来たケーキは、

白い土台に淡いピンクの薔薇がふんだんにあしらわれた3段ケーキ。

薔薇も全て食べられるようにクリームで出来ている。


静乃さんに促され、ケーキの前に足を進めると


「ゆのちゃん、おめでとう」

「あっ、………ありがとうございますっ」


思わず、涙が溢れて来た。


「ケーキは甘いから、いい塩加減になるかもね」


いつでも彼は言葉に優しさを込めて話す。

料理音痴の私を決して見捨てなかった彼。

そんな彼からの心のこもった最高の贈り物。


「ハイ。おめでたい席なんだから、豪快にね♪」


そう言ってケーキナイフを手渡され、

私は隼斗さんと共にそのケーキに……――……。