家元の寵愛≪壱≫



神父様の手により差し出されたのはリングピロー。

その中央に重なるようにして2つのリングが……。


それは、2つで1つの文様になっていて、

その中央に『HY』の文字が刻まれていた。


隼斗さんはそれを受取り、私の左薬指にそっと嵌めた。

私もまたそれを受取り、震える手で彼の左薬指にそっと嵌めた。



彼の手に光るそれを見て、胸の奥から込み上げて来る。

――――――この人は私の『夫』なんだと。



実際なら1年も前に夫婦になっている私達。

だけど、これといって特別な事は何ひとつしていない。


襲名披露と名ばかりの宴はあったものの、

私は別室で待機しているだけだったし、

心の底から安堵した事は1度も無かった。


それは恐らく、彼の指にこれが無かったから。

視界効果って本当にあるんだと、私はこの時初めて知った。



結婚証明書に署名した後、

祭壇中央のユニティーキャンドルに火を点した。



そして、