何処かへ行こうとする父親の腕を咄嗟に掴んだ。
―――――そう、答えは出ている。
「要るに決まってるじゃない!!」
「だよな?」
私が引き止める事なんてお見通しの父親。
そりゃそうだよね。
今朝まであんなにも不安で
藁をもすがる想いで必死に念じてたんだもの。
父親の突飛な行動に驚くあまり、
零れかけていた涙はすっかり止んでいた。
「……はい、了解です」
ヘッドマイク越しに何やら会話をしている月島さん。
にこやかな笑みを浮かべ、私のメイクをサッと直した。
「では、お時間です。思い切り楽しんで下さいね」
そう告げた彼女は深々とお辞儀をし、
私達の前にある大きな扉の前に。
「ゆの」
「………ん」
スッと差し出された父の腕。
私は深呼吸してそこへそっと手を掛けた。
「では…………いってらっしゃいませ」
月島さんの声と共に
目の前の大きな扉がゆっくりと開かれた。



