家元の寵愛≪壱≫



改めてドレスに視線を落としてみる。


クラシカルなAライン

一見無地っぽいが生地に繊細に刺繍が施され

重厚感のあるシルクサテンで作られたドレスは

どこかの国の王族が身に纏うような

エレガントで洗練されたスタイルである。


しかも、そのドレスにブーケとベールとグローブまで。

どこから見ても完璧なドレス姿。



私に似合うかどうかは別にして、

これを隼斗さんが選んでくれたというだけで

胸の奥がジーンと想い焦がれる。



目を閉じて、感動をじっくり味わっていると



「ゆの」

「?」


突然、思わぬ人の声がして身体が一瞬固まった。


「お父………さん?」


気付かぬうちに私の足元に跪いていた。


「綺麗だな。静子にも見せたかったな」

「おとっ………ッ……」


父親の登場と、亡き母の名前が出て来て

止まっていた涙腺が再び崩壊しそうになる。


必死に涙を堪えて父親を見ると、

彼もまた燕尾服を着ているではないか。



「………どういう……事?」